
スチールラックの種類の中で、形状は同じでステンレスの素材を使ったステンレスラックがあります。
ステンレスラックはどのような特徴があるのでしょうか。
今回はステンレスラックとスチールラックの違いについて調べてみました。
「ステンレスラック」と「スチールラック」は何が違う?
ステンレスラックとスチールラック。形状は何が違うのでしょうか。
それぞれのメリット、デメリットを比較して違いを見てみたいと思います。
スチールラックの特徴
スチールラックはその名の通り、原材料にスチール=鉄を使用しています。
鉄の素材そのままではすぐさびてしまうので、成型後に塗装をしてコーティングし、耐久性を高めています。
スチールラックのメリット
・価格が安い
スールラックのメリットは、なんといっても価格の安さです。
原材料の鉄が他の金属と比較して安価で手に入ることが価格の安さにつながっています。
また、鉄は金属の中でも延性(引きのばされる性質)があり加工がしやすいため、製造機械に負担がかからず、大量生産できるという点も安さにつながる大きな要素です。
・種類やパーツが多い
スチールラックの原材料の鉄は、加工がしやすいことから、他の金属と比較して成型がしやすいという特徴があります。
このため、複雑な形状のパーツも作ることができるので、製品の種類やオプションパーツの数が多く、用途に合わせていろいろなスチールラックを選ぶことができます。
例えば、ミクニヤの組立簡単らくらくラックは、スチールラック専用のラインアップで、使用する支柱には、組立簡単らくらくラック専用の特殊L型支柱を使用しています。
特殊L型支柱は、鉄の加工のしやすさを活かして特殊な曲げ加工を施しているので、通常のL型支柱よりも高い強度があります。
・色が選べる
スチールラックは表面に塗装をしているため自由に色を選べる、という点もメリットの一つです。
ミクニヤのスチールラックは、通常はグレーとグリーンの2色ですが、オーダーすれば指定した色でスチールラックを注文することが可能です。
スチールラックのデメリット
・さびることがある
スチールラックのデメリットは、ステンレスラックと比較してさびやすい点です。
ミクニヤのスチールラックは、焼付塗装を行うことで耐水性や耐薬品性を高めていますが、それでもステンレスラックの方が耐水性、耐薬品性は高くなります。
※焼付塗装で錆びにくくなっていますが、塗装に傷などが付くと、そこからさびやすくなります。
ステンレスラックの特徴
ステンレスラックは、原材料にステンレススチールを使用しています。
ステンレスラックの特徴について、まずはメリットとデメリットを比較してみます。
ステンレスラックのメリット
・さびや腐食に強い(耐食性 耐薬品性)
ステンレスラックの特徴は、原材料にステンレススチールを使用しているため、スチールラックと比較してさびや腐食に強い点です。
ステンレススチールは、鉄にメッキ加工などで使われるクロムという金属を掛け合わせた合金です。
鉄に一定以上の割合でクロムをまぜると、鉄よりも先にクロムが酸化して表面全体に酸化クロムの膜ができます。この膜ができきることでさびの発生を防ぐことができます。
・耐熱性、耐寒性が高い
ステンレスラックは、スチールラックと比較して耐熱性や耐寒性が高いというメリットがあります。
これは原材料のステンレススチールの熱伝導性が低いことが理由です。
ステンレススチールは、一般的には1,000℃程度の温度でも形状が変化しないため、石油ストーブの柵や、自動車のマフラーにも使われています。
また、耐寒性も高く、一般的には-196℃まで形状が変化しないことから、液体窒素のタンクにも使用されている素材です。
ステンレスラックのデメリット
・価格が高い
ステンレスラックのデメリットは、スチールラックと比較して価格が高いことです。
価格が高い理由は、原材料のステンレススチールが鉄と比較して高いことと、ステンレススチールの加工が難しく、手間がかることにあります。
ステンレススチールは、鉄に比べて熱伝導率が低いため、切削加工をする際に、工具先端に摩擦熱が集中してしまうので工具を痛めやすいというデメリットがあります。
摩擦熱をうまく逃がして加工をするには技術と経験が必要なことから、大量生産が難しく、その分価格が高くなってしまいます。
・種類やパーツは限られる
もう一つのデメリットとしては、スチールラックと比較して、ラックの種類やパーツが限られる点があります。
先ほど述べたように、原材料のステンレススチールは加工が難しいため、複雑な形状の部品には手間がかかります。
価格も高いため大量生産によるコストダウンがしにくいことから、スチールラックと比較するとラックの種類やパーツは少なくなります。
ステンレスラックの種類
ステンレスラックには、ステンレススチールの原材料によって2種類の仕様に分かれます。
ステンレススチールの素材の種類についてそれぞれの特徴を調べてみました。
ステンレススチールの材質の種類
SUS304仕様
SUS304仕様は、原材料にクロムとニッケルを含んだステンレススチールです。
他の仕様と比較して、さびや腐食に強いのが特徴です。
また、高温、低温両方の耐熱性にも優れていることから、水や火を使用する食品加工場や冷凍保管庫といった場所での使用に適しています。
SUS430仕様
SUS430仕様は、SUS304仕様とともによく使われているステンレススチールの仕様のひとつです。
原材料にニッケルを使用していないため、SUS304仕様と比較すると安価になりますが、耐食性はSUS304仕様より劣ります。
鉄よりも耐食性があり、他のステンレス仕様と比較して加工がしやすいことから、台所製品、厨房製品をはじめ、自動車部品や建築物の外壁材など、様々な用途で使われている素材です。
ステンレスラックのシリーズ
ステンレスラックのシーリーズは大きく分けて4つの種類があります。
仕様はスチールラックと共通です。
それぞれの種類の特徴についてまとめてみました。
ボルト式ラック
ボルト式ラックの特徴は、強度が高いという点です。
支柱と棚板にプレートという金具とボルトを使って固定します。
四隅をしっかり固定しているので横揺れにも強い構造になっています。
強度があるので重量があるものを長期間保管する、といった使い方に適しています。
一方で、ボルトを使用するため組立には手間がかかります。
ボルトの締め方によってはゆがみが出てしまうこともありますので、組み立てには注意が必要です。
ボルトを一気に締め付けせずに、仮締めの状態で全体を組み上げた後、調整をしながら本締めをする、といった手順が必要になってきます。
ボルト式ラックとボルトレスラックと違い ボルト式ラックとは?
ボルトレスラック
ボルトレスラックの特徴は、ボルトを使わないので工具をほとんど使わず簡単に組み立てられるという点です。
各部材についている爪を支柱の穴に差し込み、落とし込んで組み立てます。
差し込みにくい場合は、接合部分をゴムハンマーなどでたたいてはめ込みます。
レンチやスパナといった工具を使う必要がないので、工具の使用に慣れていない方でも安心して組み立てることができます。
一方で、ボルトで固定していない分、ボルト式よりも強度は下がります。
横揺れに対しても同様のことが言えますが、地震対策の場合、揺れを吸収できる方が良い場合もありますので、一概に耐震性が劣るわけではありません。
転倒防止対策としては、支柱の足に取り付ける転倒防止ベースや床固定用の転倒防止部材を取り付けることで対応することが可能です。
内部リンク ボルト式ラックとボルトレスラックと違い ボルトレスラックとは?
セミボルトレスラック
ボルト式ラックとボルトレスラックの中間に位置する商品がセミボルトレスラックです。セミボルトレスラックは、天板と地板をボルトで固定し、中板はフック金具を使用して固定します。
ボルト式ラックの強度を持ちながら、ボルトレスラックのように中板の位置を簡単に移動できるのがセミボトルレスラックの大きな特徴です。
ボルト式ラックとボルトレスラックと違い セミボルトレスラックの特徴は?
パレットラック
パレットラックは、パレット(フォークリフトの爪を差し込んで持ち上げられる荷物台)
に載せられた荷物をそのまま保管できるラックです。
フォークリフトを使用する物流倉庫や工場などで使います。
保管する荷物の大きさや重量、倉庫の高さやフォークリフトの形状などに合わせて、連結して組みつけることができます。
まとめ
今回はステンレスラックとスチールラックの違いについてまとめてみました。
ラックの形状は同じでも、原材料の違いで使用する場所や用途がそれぞれ異なってきます。
また、ステンレスラックはSUS304とSUS430の2種類の材質があり、こちらも素材によってそれぞれ性質による違いや、適した使い方があります。
特に業務で使用する場合、誤った使い方をすると思わぬ事故にもつながりかねません。
ステンレスラックもスチールラックも、信頼できるメーカーで購入することをおススメします。
追伸:ステンレックラックはミクニヤでも購入が可能です。
また、スチールラックに関するご相談は、チャットやお問い合わせフォームから24時間いつでも受け付け中です。
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