倉庫の中二階とは?
倉庫の中二階とは、物流倉庫や業務施設の建物内部に設置する、通常の床面よりも高い位置にある追加の階層のことです。
倉庫の中二階は人が歩ける大きな「棚」
一般的な倉庫の中二階は鉄骨などで組み立てて、上部に荷物を保管できるようになっています。
上面は位置が高く、中二階に荷物を置くには人の力も必要になるため、通常は乗降用の階段も設置します。
一般の大型倉庫は、天井の高さが通常の建物の2階以上の高さになるものが多いことから、人が移動できる大きな「棚」として上部の空いたスペースを活用できる中二階が利用されています。
倉庫内のスペースを最大限に活用できる
中二階は、鉄骨の部材を組み立てることで簡易的に一階分のスペースを追加することができます。
倉庫に平積みで物を保管する場合は、上部に積み上げしすぎると下に置いたものが出し入れしにくくなるほか、大きさが異なる複数種類の物を保管すると、隙間が空いてしまいスペースの無駄ができてしまうことがあります。
上部スペースを活用する方法として業務用の棚を使う方法がありますが、上段にある物を取り出すためには、脚立やハシゴなどを使う必要があるので作業効率が悪くなるほか、落下や事故の危険性も高くなってしまいます。
また、パレット単位で物を保管するパレットラックやネステナーを利用する方法もありますが、これらはフォークリフトを使用したパレット運用が前提となっているため、使い方や保管物のサイズが限定されてしまいます。
一方で、倉庫に中二階を設置すれば、階段を使って安全に上部スペースにアクセスできるので、小さな物や種類が多い物の保管にも対応することができるほか、これまで無駄になっていた倉庫内上部のデッドスペースを有効活用できるので、倉庫全体の保管効率を高めることができます。
倉庫に中二階を設置するメリット
倉庫に中二階を設置することで、様々なメリットが生まれます。
天井の無駄なスペースを有効活用できる
倉庫に中二階を設置する最大のメリットは、倉庫で空いている天井の無駄なスペースを有効活用できるという点です。
大型倉庫の多くは通常の建物の2階以上の高さがあり、天井の空間には大きなスペースがあります。
中二階は、この上部スペースを有効活用できる効果的な方法です。
最大で2倍近くの床面積を増やすことができるので、大量の物を保管できるようになるほか、異なる複数のカテゴリやサイズの物を整理して配置できるようになります。
コストが削減できる
中二階はコスト削減という点でも大きなメリットにつながります。
倉庫を建設するときに、階数を増やすほど建設費用は高くなりますが、中二階の場合は鉄骨を組み立てるだけで階層を増やすことができるので、大幅な建設コストの削減につながります。
また、同じ面積のスペースを追加で借りる方法と比較した場合、初期費用に関しては中二階よりも安く収まるケースもありますが、借りている間は賃料や保守費用などのランニングコストが継続的に発生するため、長期視点で考えれば中二階を設置した方が、コスト削減効果が高いと言えます。
作業スペースとしても利用できる
これに加えて、中二階は作業スペースとして利用できることもメリットのひとつです。
中二階の上面は、人が移動できるよう頑丈に設計されているため、作業場としても使うことができます。
保管や仕分け、ピッキングの作業スペースとしても使用可能なことから、保管効率と合わせて、作業効率を含めた倉庫全体の生産性向上につながります。
倉庫の中二階のデメリット
倉庫に中二階を設置する様々なメリットがある一方で、デメリットと言える点も存在します。
設置費用がかかる
倉庫に中二階を設置するうえでデメリットと言える点は、設置費用が必要になるという点です。
中二階を設置するとき、支柱をはじめとする部材はそれぞれ分解された状態で納品されるため、プロの業者に組み立て作業を依頼する必要があることから、設置には作業費を含めた設置費用が必要になります。
加えて、保管する物の大きさによってはエレベーターの設置も必要となることから、その分設置費用の金額は大きくなります。
一方で、保管スペースを増やすという点だけで比較すると、パレット運用に便利なネステナーは設置費用が掛かりません。
組み立てられた状態でそのまま使用することができて、2~4段ほど重ねて使用することができるので、中二階よりも低コストで保管スペースを増やすことができます。
スペースや重量に制約がある
中二階があると、倉庫内の有効なスペースが制限される可能性がある点もデメリットの一つと言えます。
これまで天井までスペースがあった場所に中二階を設置するため、高さがある物は倉庫に保管できなくなる可能性も出てきます。
また、中二階は重量に制限がある点も注意が必要です。
構造や強度によって異なるものの、中二階には耐荷重の上限が設定されていますので、耐荷重を超える保管物を長期間中二階に置いておくことはできません。
支柱のひずみや倒壊などの危険が発生する可能性があるため、中二階を設置した際は、耐荷重を超えないよう注意して利用するようにしましょう。
建築基準法に適合する必要がある
中二階を設置する場合、規制を受ける法律がある点にも注意する必要があります。
日本の建築基準法では、支柱と床と固定の階段で構成れている中二階は、建築物として増床分とみなされることから、建築確認申請の手続きを行う必要があります。
このとき、建物ごとに容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)が決められているため、この容積率の範囲内で中二階を設置しないと、建築許可が下りない可能性もあります。
一方で、パレットラックやネステナーはこのような建築確認申請の必要が無いため、保管スペースを増やすことだけで比較した場合、手続きが必要な点は中二階のデメリットと言えます。
消防法に適合する必要がある
中二階を設置する場合、建築基準法に加えて消防法に適合する必要がある点も注意が必要です。
建築物とみなされる場合は、管轄の消防署から避難経路の確認や防火設備の増設を要求されることもあります。
他の倉庫棚と比較してこのような設備の設置や手続きが必要な点も、中二階のデメリットの一つと言えます。
簡易中二階「ユニットステージ」とは?
先ほどふれたように、倉庫に中二階を設置する際は、建築基準法や消防法に適合する必要がありますが、これらの適合が難しい場合、倉庫の中二階に代わる製品として簡易中二階の「ユニットステージ」を導入するという方法があります。
「ユニットステージ」は中二階式の「棚」
ミクニヤで取扱いしている「ユニットステージ」とは、物の保管を目的とした中二階式の「棚」になります。
「ユニットステージ」はユニット棚の集合体で形成されていて、ユニット棚同士をフロア材でつなぎ合わせることで、天面にステージ上のスペースを作ることができます。
「ユニットステージ」はユニット棚を組み合わせている棚の集合体であるため、建築物ではなく工作物に分類されます。
このため、ステージ上部に人が常駐することや、人が常駐するための建物を設置することはできませんが、物の保管や移動の際に移動式ステップを使ってステージに昇ることは可能です。
「ユニットステージ」のメリット
「ユニットステージ」のメリットには、主に次の点があげられます。
収納力が最大で2倍になる
「ユニットステージ」は、ユニット棚同士をフロア材でつなぎ合わせることで天面にステージ状の保管スペースを作ることができます。
「ユニットステージ」の上下段に物を保管できるようになるため、平積みの場合と比較して、最大で2倍の収納力を確保することができます。
ステージ耐荷重は最大500㎏/m²
ユニットステージの耐荷重は、最大で500㎏/m²となっているため、重量物の長期保管にも対応しています。
低コストで申請手続きも不要
「ユニットステージ」は建築物ではなく、ユニット棚を組み合わせた工作物に分類されるため、建築基準法や消防法の申請手続きが不要になります。※
また、シンプルな構造で簡単に組み立てができることから、設置費用などの導入コストも安く抑えることができます
※ユニットステージは建築物ではありませんが、管轄消防署から消防設備の増設などの指導が入る場合があります。
まとめ
倉庫の中二階は、設置することで倉庫内上部スペースの有効活用につながるほか、保管や仕分け、ピッキングの作業スペースとしても使用可能なことから、保管効率と合わせて、作業効率を含めた倉庫全体の生産性向上につながります。
一方で、設置には建築基準法や消防法の基準をクリアする必要があるため、倉庫の大きさや立地によっては設置できない場合もあいます。
倉庫の中二階に代わる製品として簡易中二階の「ユニットステージ」を導入するという方法があります。
ミクニヤでは、中二階と「ユニットステージ」の両方を取扱していますので、倉庫スペースの有効活用についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。