ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックの違いは?錆に強い棚の選び方

これまで錆びや腐食に強い棚としては、ステンレスラックが主流でしたが、近年の技術開発により、錆や腐食に強い高耐食めっき鋼板が製品化され、その素材を利用したスチールラックも発売されています。

そこで今回は、同じ錆に強い棚としてZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックの違いについて、それぞれの特長を比較しながら紹介したいと思います。

ZAM®(高耐食めっき鋼板)とは?

ZAM(ザム)は、高耐食めっき鋼板の一種です。

高耐食性めっき鋼板とは、鉄にアルミニウム、亜鉛を主成分とする特殊なめっき層を被膜させることで、優れた耐食性と耐久性を兼ね備えた鋼板で、屋外での使用や水分の高い環境でも優れた耐食性を発揮します。

ZAM®とは?

ZAM®とは、日本製鉄株式会社が製品化している高耐食めっき鋼板の名称です。

世界で初めて工業生産化に成功した高耐食性めっき鋼板が日本製鉄株式会社のZAM®になります。

ZAM®は、メッキ処理で使用する合金の亜鉛=Zn、アルミニウム=Al、マグネシウム=Mgの3つの金属の頭文字が名前の由来となっていて、この3つのメッキ層を持つ鋼板であることからZAM®という名称が付きました。

ZAM®※は溶融亜鉛めっき鋼板と比べて10~20倍(日本製鉄株式会社での塩水噴霧試験での試験結果による)、溶融亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板と比較しても5~8倍の耐食性があり、非常に優れた性能をもつ鋼板です。

※①ZAM®は日本製鉄株式会社の登録商標です。

日本製鉄株式会社:ZAM®について

KOBEMAG®とは?

KOBEMAG®とは、株式会社神戸製鋼所が製品化している高耐食めっき鋼板で「KOBE Magnesium Aluminum Galvanized Steel」の略からKOBEMAGの名称となっています。

KOBEMAG®は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムの特殊なめっき層を保護被膜として鋼板の上に形成することで、溶融亜鉛めっきに比べて優れた耐食性を発揮します。

※②KOBEMAG®は株式会社神戸製鋼所の高耐食めっき鋼板の登録商標です。

株式会社神戸製鋼所:高耐食めっき鋼板 KOBEMAG®

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックの特長

スチールラックでもZAM®や KOBEMAG®などの高耐食めっき鋼板を使用したラックが製品化されています。

そこで、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックの特長について、詳しく紹介したいと思います。

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錆に強い

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックの特長として、錆に強いという点があります。

一般的なスチールラックは鉄製のラックの表面を塗装することで被膜を形成し、酸化による錆や腐食を防いでいます。

ただ、塗装だけでは完全に鉄の表面を覆うことができず、目に見えない細かい気泡の穴ができてしまいます。そこから水分が侵食することで、錆びが発生してしまうことがあります。

特に、湿気の多い場所や屋外の直接雨に当たる環境では、すぐに錆びや腐食が発生してしまうため、そのような場所ではスチールラックを使用することはできません。

一方で、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックの場合は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムの特殊なめっき層が表面を強力に保護することで高い耐食性を発揮します。

これにより、通常のスチールラックでは使用できない屋外などの特殊な条件下でも問題なく使用することができます。

導電性に優れている(静電気が逃げやすい)

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックは、導電性に優れていることも大きな特長になります。

金属は種類によって電気の流れやすさ(=導電性)が異なりますが、アルミニウムは金属の中でも導電性が高く、亜鉛や鉄と比較して電気が流れやすい性質を持っています。

ZAM®ラックに使用されている耐食性めっき鋼板には、めっき表面にアルミニウムが含まれているため、導電性に優れ静電気が逃げやすいラックとなっています。

特に、コンピューターや、サーバーなどの電子機器などは、静電気が発生することで誤作動や故障につながる可能性があります。

また、静電気で集まるホコリも電子機器には悪影響につながります。

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックは、静電気が逃げやすく、帯電しにくい性質があるため、電子機器類の保管には大変適したラックです。

耐アルカリに優れている

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックは、アルカリに対して高い耐性があることも特長のひとつです。

高耐食めっき鋼板は、めっき層の表面にマグネシウムやアルミを含んだ亜鉛系保護被膜が形成されています。

この保護被膜によってアルカリ成分の浸食を強力に防ぐことができるので、高耐食めっき鋼板で作られたZAM®ラックは耐アルカリに優れた力を発揮します。

特に、アルカリ成分を含んだ医薬品などを長期間するといった用途にZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックは適しています。

ステンレスラックよりも価格が安い

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックはステンレスラックよりも価格が安いという点も特長になります。

そもそもステンレスは、鉄と比較して硬度が高く、加工が難しい金属です。

加工が難しいため、加工費用も高額となってしまうことから、その分製品の金額も鉄製の製品と比較して高額になってしまいます。

一方で、ZAM®(高耐食めっき鋼板)は特殊なめっき層を持っていますが、鋼板自体は鉄製のため、ステンレスと比較して加工しやすい素材です。

さらに、ZAM®(高耐食めっき鋼板)自体が錆や腐食に強い性質であることから塗装の必要もありません。

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この為、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックは、ステンレスラックよりも安い価格で提供することが可能になっています。

ステンレスとは?

さびや腐食に強いラックとしては、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックのほかにステンレスラックがあります。

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックの違いを比較できるように、ステンレスラックに使用されているステンレスの素材の特長について解説したいと思います。

ステンレス素材の種類

ステンレスの素材には種類が別れていて、ラックとして使用されているステンレス素材には、次の2つがあります。

SUS304仕様

SUS304は、原材料にクロムを18%、ニッケルを8%含むステンレス素材です。

SUS304は、他のステンレスと比較して柔らかいことが特長で、切断、曲げ、溶接、加工など、多くの加工操作が可能です。

また、優れた耐食性を備えていることから、表面に形成された酸化被膜が鋼材の表面を保護し錆の発生を防ぐことができます。

更には、SUS304は高温と低温両方の耐熱性にも優れた特長があり、水や火を使用する食品加工場や冷凍保管庫などの過酷な温度環境下での使用に適しています。

SUS430仕様

SUS430仕様は、SUS304仕様とともによく使われているステンレスの種類のひとつです。

SUS430の主な成分は鉄とクロムで、このほかニッケルの代わりにマンガンを添加しています。

原材料にニッケルを使用していないため、SUS304仕様と比較すると安価になりますが、耐食性はSUS304仕様より劣るものの、鉄と比較して高い耐食性と耐熱性があります。

一般的な使用例としては、家庭用品、食品加工機器、自動車部品、建築材料などがあります。

ステンレスラックの特長

ステンレスラックは、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックと同様に耐食性の高い棚で、主に次のような特長があります。

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錆や腐食に強い(耐食性 耐薬品性)

ステンレスラックは、原材料にステンレススチールを使用しているため、スチールラックと比較して錆びや腐食に耐性があることが大きな特長です。

ステンレスラックにはSUS304仕様とSUS430仕様の2つの種類がありますが、どちらもスチールラックと比較すると耐食性が高く、錆や腐食が発生しにくくなっています。

ステンレスラックが錆や腐食に強い理由は、素材のステンレスに大きな理由があります。

ステンレスにはクロムが含まれていますが、鉄に一定以上の割合でクロムをまぜると、鉄よりも先にクロムが酸化して表面全体に酸化クロムの膜ができます。

この膜が形成されることで、ステンレスラックは錆びや腐食の発生を防ぐことができます。

高温や低温に対して耐性がある

ステンレスラックのもう一つの特長として、高温や低温に対して耐性がある点があげられます。

これは原材料のステンレスの熱伝導性が低いことが大きな理由で、高温や低温の環境であっても、形状が変化しにくい、という特長を持っています。

厳しい温度環境下でも使用できることから、ステンレスラックは業務用冷凍庫内の棚としても使用されています。

価格が高いのがデメリット

ステンレスラックは優れ特長がある一方でデメリットもあります。

それはスチールラックと比較して価格が高い点です。

ステンレクラックの価格が高いのは理由があって、ステンレスの素材自体が鉄と比較して高いことと、ステンレスは加工が難しいという2つの理由があげられます。

特にステンレスは熱伝導率が低いため、切削加工をするときの工具先端に摩擦熱が集中してしまうことから、摩擦熱をうまく逃がして加工をするには技術と経験が必要になります。

このため、大量生産が難しく、その分価格が高くなってしまうのがデメリットになります。

まとめ

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックについてそれぞれの特長を紹介しましたが、比較してまとめると次のような違いがあります。

ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラック ステンレスラック
耐食性(錆び)
耐薬品性
耐アルカリ性
導電性(静電気が逃げやすい)
耐熱性、耐寒性
価格(コストパフォーマンス) ×

素材による性能の違いはありますが、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックは鉄製の棚と比較して両方とも格段に優れた特長を持っていて、厳しい環境下でも使用できる棚です。

ミクニヤでは、ZAM®(高耐食めっき鋼板)ラックとステンレスラックをそれぞれ取扱していますので、商品について詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。

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ボルトレスラック
ボルトを一切使用しないスチール棚。ボルトを使用しないので、棚の組み立てや段の移動が簡単に出来ます。
対応耐荷重① 150kg、200kg、300kg、500kg
ボルト式ラック
ボルトを使用して組み立てるスチール棚。一般的に同じ耐荷重ならボルト式の方が強度や揺れに強いです。500kg以上はボルト式棚をお勧めします。
対応耐荷重① 100kg、150kg、300kg、500kg、1000kg
セミボルトレスラック
天板と地板はボルト締めで、中板をフック金具を使用してボルトレスにしたもの。
対応耐荷重① 100kg、150kg
組立簡単ラック
弊社オリジナルのスチール棚。従来のアングル棚に特許を取得した弊社考案のスイング式コーナー金具を使用する事によって、組立に使用するボルト数を8本まで減らした組立簡単なスチール棚です。
対応耐荷重① 100kg
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スチール
鉄製のラック。一般的なラックで屋内でのご利用でしたら一番おすすめです。屋外でのご利用を想定している場合、焼付塗装をしているので、ある程度の防錆効果はありますが傷が付くとそこから錆びていきます。種類・サイズが豊富で一番安価な棚です。
ステンレス【SUS304】
ステンレス製のラック。SUS430よりも耐熱性・耐食性・耐久性に優れています。非常に錆びにくい素材なので、屋外・水場・クリーンルーム等でのご利用におすすめです。オーステナイト系で磁性を持ちません。一番高価な棚です。
ステンレス【SUS430】
ステンレス製のラック。耐熱性・耐食性・耐久性に優れています。錆びにくい素材なので、屋外・水場・クリーンルーム(クラスの高くないもの)等でのご利用におすすめです。フェライト系で磁性を持ちます。SUS304よりは安価な棚です。
高耐食めっき
鉄に特殊なメッキ層を被膜させていて、優れた耐食性・耐久性を兼ねそろえたラックです。屋外・水場でのご利用にも向いていますが、経年劣化によるメッキ剥離のリスクもございます。スチールとステンレスの間位の価格帯です。