HACCP(ハサップ)とは?
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Points」(ハザード分析重要管理点)の略称で、国際的に広く採用されている衛生管理手法の一つです。
食品産業界でも広く認知されており、多くの企業が自社の食品安全管理システムにHACCP(ハサップ)を導入しています。
HACCP(ハサップ)は国際的に導入されている衛生管理手法
HACCPは、1950年代にNASAの宇宙開発計画で開発され、その後、食品業界における食品安全管理の標準的な手法として広く採用されました。
現在では、食品加工工場やレストランなどの食品関連事業者が、自社の製品やサービスの品質と安全性を確保するためにHACCP(ハサップ)の手法を取り入れています。
食品の安全性を高めるだけでなく、国際貿易においてもHACCP(ハサップ)は重要な役割を担っています。
HACCP(ハサップ)を導入した食品製品は、安全性や信頼性が高まることから、食品産業において企業の競争力を高める重要な要素の一つとなっています。
日本ではHACCP(ハサップ)導入が義務化に
日本国内では、2003年の食品衛生法の改正の際に、HACCPの導入が承認されるようになりました。改正後の食品衛生法では、食品衛生上適正な措置の具体的な手法としてHACCP(ハサップ)が挙げられています。
また、厚生労働省では、2021年6月から、原則として、すべての食品等事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理に取り組むことを求めています。
HACCP導入の手順「 7原則12手順」
HACCPは、食品安全を確保するために、以下の7つの原則と12の手順から構成されています。
【HACCPの7つの原則】
- 危害の危害の分析(Hazard Analysis)
- 重要管理点の特定(Identification of Critical Control Points, CCPs)
- CCPの管理基準の設定(Critical Limitsの確立)
- CCPの監視(Monitoring)
- 是正措置(Corrective Actions)
- 確認(検証)
- ドキュメンテーション(Documentation)
【HACCPの12の手順】
- HACCPチームの形成
- 製品の特性の説明
- 予想される危害の識別
- 危害の重要性の評価
- 危害の制御に必要なCCPの決定
- CCPで制御される危害の管理基準の設定
- CCPで制御される危険性の監視方法の確立
- CCPの管理基準に対する是正措置の策定
- HACCPシステムの効果の検証
- 記録の管理
- HACCPシステムの見直し
- 従業員のトレーニング
以上がHACCPの7つの原則と12の手順です。 これらの手順を適切に実施することによって、食品安全を確保することができます。
HACCP(ハサップ)対応の棚とは?
HACCP(ハサップ)に対応した棚は、食品安全を確保するために、一般の棚とはことなる特徴を持っています。主な特徴は次の通りです。
清潔な状態を保つ(汚染防止)
HACCPに対応した棚は、食品加工現場や食品販売現場での使用を前提として、衛生面での配慮がされています。取り扱う食品の汚染防止のため、棚の表面に汚れがつきにくく、かつ洗浄しやすい素材が使用されています。
分解清掃がしやすい
もう一つのHACCP(ハサップ)対応の棚の特徴は、分解清掃がしやすい点です。食品加工現場や食品販売現場では、衛生面での配慮から定期的な清掃が必要です。そのため、 HACCP(ハサップ)に対応した棚は、棚板の脱着がしやすく、清掃作業を効率的に行うような構造になっています。
異物の混入を防ぐ(錆の発生や塗装の剥離)
また、HACCPに対応した棚は、取り扱う食品に対して異物の混入を防ぐために、棚自体から異物が発生しにくい素材であることが求められます。
鉄やアルミなどの金属素材は、水分に長期間ふれてしまうと、参加して錆が発生します。また、錆を防止するために表面に塗装を施す場合もありますが、塗装は衝撃などにより剥離する可能性があります。錆びや剥離した塗装片は異物となって食品に混入する危険があるため、このような素材の棚はHACCP(ハサップ)に適していません。
HACCP(ハサップ)に対応した棚は、金属の場合、塗装の必要が無い高耐食性の材質であることが求められます。
HACCP(ハサップ)導入にはステンレス棚がおすすめ
HACCPに対応した棚は、食品加工現場や食品販売現場での使用を前提として、衛生面での配慮がされていることが求められます。
そのなかで、特に金属製の棚ではステンレス棚がおすすめです。
ステンレスは、汚れがつきにくく、洗浄がしやすい素材であり、食品加工現場や食品販売現場での使用に適しています。
ステンレス棚とスチール棚の比較
ステンレス棚とスチール棚は、どちらも製品や商品の収納や保管や用途で使用される棚ですが、材質の違いによってその特性も変わってきます。
まず、ステンレス棚は、スチールにクロムやミネラルなどを添加して作られた耐食性の高い素材です。 そのため、水や湿気が多い場所でも錆びにくく、汚れや雑菌の付着が少なく衛生的に使用できます。食品加工現場や医療機関などで使用されることが多く、長期使用することができますが、素材が高価で加工が難しいため、価格が高くなる場合があります。
一方、スチール棚は、鉄を主原料とした材質で、加工が容易で比較的安価なため、一般的によく使用されます。ステンレス棚に比べると、錆びやすく、湿気の多い場所での使用には向いていませんが、重い荷物を乗せることができ、強度があります。また、塗装やコーティングなどで表面を加工することで、耐久性や衛生性を向上させることができます。
使用目的や場所によって異なりますが、特にHACCP(ハサップ)にかかわりが強い食品加工現場などでは、ステンレス棚が適していると言えます。
ステンレス棚の種類
耐食性が高いことから、HACCP(ハサップ)導入にはステンレス棚がおすすめです。
ステンレス棚の中でも、素材や仕様にいくつかの種類があります。
それぞれの内容や特長について紹介します。
ステンレス棚の素材の種類
ステンレス棚に使用される素材は、一般的に以下の2つの種類があります。
SUS304仕様
SUS304仕様は、原材料にクロムとニッケルを含んだステンレスです。耐食性や耐磨耗性も高く、高温、低温両方の耐熱性にも優れていることから、水や火を使用する食品加工場や冷凍保管庫といった場所での使用に適しています。
SUS430仕様
SUS430仕様は、クロムと鉄を主成分とするステンレスです。SUS304に比べて耐食性にやや劣りますが、価格が安く、強度や耐久性に優れています。
鉄よりも耐食性があり、他のステンレス仕様と比較して加工がしやすいことから、台所製品や厨房製品をはじめ、自動車部品や建築物の外壁材など、様々な用途で使われている素材です。
ステンレス棚の種類
ミクニヤのステンレス棚のシリーズは4つの種類がありますが、今回はHACCP(ハサップ)導入におすすめできる2つのシリーズとオプションパーツについて、その特長をまとめてみました。
仕様はスチールラックと共通です。
ボルトレス式ステンレス棚
ボルトレスス式テンレス棚の特長は、ボルトを使わず各部材についている爪を支柱の穴に差し込み、落とし込んで組み合わせる構造になっているため、工具をほとんど使わず簡単に組み立てられるという点です。
レンチやスパナといった工具を使う必要がないので、分解清掃の際に行う棚の取り外しや段数の変更、移動もしやすい構造となっているため、慣れていない方でも安心して取り扱うことができます。
セミボルトレス式ステンレス棚
セミボルトレス式ステンレス棚の特長は、天板と地板をボルトで固定し、中板はフック金具を使用して固定するステンレス棚です。
セミボルトレス式ステンレス棚は、ボルトで固定する箇所を減らすことで、強度を維持しながら、中板の位置を簡単に移動できる利便性を併せ持っています。
支柱の分解には工具が必要になりますが、ボルトレス式ステンレス棚と同様に工具なしでも棚板の取り外しや移動ができるので、清掃がしやすくなっています。
キャスター(オプションパーツ)
HACCP(ハサップ)導入の際には、ステンレス棚と合わせてキャスターパーツを付けることをおススメします。
定期的に棚の清掃を行うとき、キャスターが付いていれば移動がラクになることで作業負担も大幅に軽減できることから、ぜひおすすめしたいオプションパーツです。
まとめ
HACCP(ハサップ)は、国際的に広く採用されている衛生管理手法の一つで、多くの企業が自社の食品安全管理システムにHACCP(ハサップ)を導入しています。
食品加工現場や食品販売現場での使用を前提として、衛生面での配慮が必要なことから、使用する棚についてもHACCP(ハサップ)に対応していることが求められます。
特に金属製の棚の中では耐食性が高いステンレス棚がおすすめです。
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