クリーンルームとは?
クリーンルームとは、目に見えない細菌や、視認しにくい小さなホコリなどを取り除き、製品に付着するのを防止するために作られた部屋のことです。
クリーンルームでは、空気中に浮遊する微粒子や微生物が一定のレベル内に収まるよう管理されていて、室内に不純物やゴミが入り込まないような設備や機能が備わっています。
微粒子の大きさはさまざまですが、その大きさは肉眼で確認できる限度の100分の1程度までを含みます。
ここまで小さい微粒子は一般的に使われている空調設備のエアフィルタでは完全に取り除くことができません。
そのためクリーンルームでは、細菌や微粒子を外部から入り込まないようにすることに加えて、内部でも発生させないよう、設計の段階でさまざまな工夫がなされています。
工業用クリーンルーム
工業用クリーンルームは、主に空気中に浮遊する塵埃の除去や侵入を防ぐ対策を施しているクリーンルームです。
工業用クリーンルームは、半導体の製造や検査工程、液晶パネルの製造・検査工程をはじめ、精密機械類を取り扱う工業用途を目的としたクリーンルームで、微細な塵埃が製品に重大な影響を及ぼすことが無いよう、室内の空気を管理するために必要な設備が設置されています。
また最近は、プラスチックや接着剤などの製品を構成する有機材料や、梱包材から放出される有害物質(アウトガス)なども管理、除去する対象となっています。
バイオクリーンルーム
バイオクリーンルームは、主に医薬品や食品、生物研究分野を対象としたクリーンルームで、空気中に浮遊する塵埃だけではなく、浮遊微生物や付着菌などの除去や侵入を防ぐ対策が施されています。
バイオクリーンルームでは、従来のフィルターでは除去できないウイルスや細菌などの微生物を捕集して殺菌しなければならないため、殺菌酵素HEPAフィルターといった特殊なフィルターを設置する必要があります。
また、必要に応じて耐薬品性や耐食性のある部材をクリーンルームの設備に使用して、室内の空気中の環境を徹底して管理することが求められます。
クリーンルームに向いている棚の条件
クリーンルームは、室内で取り扱いする製品や物質を微粒子やホコリ、微生物などの有害物質から守るために、厳密な管理が必要となります。そのため、クリーンルームに設置する棚についても、室内の管理に影響が出ないものを選ぶ必要があります。
クリーンルームに棚を設置するために求められる主な条件について詳しくまとめてみました。
耐食性と耐薬品性
クリーンルームに設置する棚の条件として欠かせないのは、耐食性と耐薬品性になります。
金属が酸化還元反応によって生成される腐食物を一般的に錆(さび)と呼んでいますが、錆の発生は粉塵の元にもなる物質のため、クリーンルーム内で発生させないようにする必要があります。
また、クリーンルームでは、薬品類を取り扱いすることも多く、金属によっては薬品にふれることによって、酸化還元反応を起こし、錆や腐食を発生させることもあることから、クリーンルームで使用する棚は、耐食性や耐薬品性が備わった素材を選ぶ必要があります。
帯電防止性
クリーンルームでは精密機器を取り扱いするところも多くあります。
静電気の発生はゴミの付着の原因になるため、室内で静電気を発生させないための対策が必要になります。
このため、クリーンルーム内で使用する棚においては、できるだけ静電気を逃がしやすい、帯電防止性の高い材質が望ましいと言えます。
HACCP(ハサップ)導入
HACCP(ハサップ)とは、FAO(国連食糧農業機関)及びWHO(世界保健機関)により設置された国際的な政府間機関のCodex(国際食品規格)委員会から発表されている、国際的な食品の衛生管理方法のことです。
日本では、食品衛生法の改正で2021年6月から、原則として全ての食品事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務付けられています。
食品類を取り扱うクリーンルームでもHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の導入が必要になります。
そのため、食品類を取り扱うクリーンルームで使用する棚についても、HACCP(ハサップ)の基準に沿って食品衛生保管に適した素材や構造のものを導入する必要があります。
クリーンルームにおすすめの棚
耐食性と耐薬品性、帯電防止性に加えてHACCP(ハサップ)の基準に沿った食品衛生保管に対応できる、クリーンルーム内の環境管理に適している棚を選ぶなら、ステンレス製の棚をおすすめします。
ステンレス棚
ステンレススチールは、鉄にメッキ加工などで使われるクロムという金属を掛け合わせた合金で、表面全体に酸化クロムの膜ができることで、鉄と比較して錆びが発生しにくく、耐食性、耐薬品性に優れています。
表面に酸化クロムの膜があることで、塗装で保護をする必要もないことから、有害物質の発生も防ぐことができるため、ステンレススチール製のステンレス棚はクリーンルームに適している棚と言えます。
ステンレス棚の素材の種類
ステンレス棚は、ステンレスス素材によって2種類の仕様に分かれます。
SUS304仕様
SUS304仕様は、原材料にクロムとニッケルを含んだステンレスです。
さびや腐食に強いのが特長のほか、高温、低温両方の耐熱性にも優れていることから、水や火を使用する食品加工場や冷凍保管庫といった場所での使用に適しています。
SUS430仕様
SUS430仕様は、 原材料にニッケルを使用していないため、SUS304仕様と比較すると安価に購入できるのがメリットです。
耐食性はSUS304仕様より劣りますが、鉄よりも耐食性があり他のステンレス仕様と比較して加工がしやすいことから、台所製品、厨房製品をはじめ、自動車部品や建築物の外壁材など、様々な用途で使われている素材です。
ステンレス棚の種類
ミクニヤのステンレス棚のシリーズは4つの種類がありますが、今回はクリーンルームにおすすめできる3つのシリーズについて、その特長をまとめてみました。
仕様はスチールラックと共通です。
ボルト式ステンレス棚
ボルト式ステンレス棚の特長は、強度が高いという点で、重量があるものを長期間保管するような使い方に適しています。
支柱と棚板にプレートという金具とボルトを使って固定するので横揺れにも強い構造になっています。
ボルトレス式ステンレス棚
ボルトレスス式テンレス棚の特長は、ボルトを使わず各部材についている爪を支柱の穴に差し込み、落とし込んで組み合わせる構造になっていて、工具をほとんど使わず簡単に組み立てられるという点です。
レンチやスパナといった工具を使う必要がないので、工具の使用に慣れていない方でも安心して組み立てることができます。
一方で、ボルトで固定していない分、ボルト式ステンレス棚よりも強度は下がります。
セミボルトレス式ステンレス棚
ボルト式とボルトレス式の中間に位置するのがセミボルトレス式ステンレス棚です。
セミボルトレス式ステンレス棚の組み立ては、天板と地板をボルトで固定し、中板はフック金具を使用して固定する方法を取っています。
セミボルトレス式ステンレス棚は、ボルトで固定する箇所を減らすことで、強度を維持しながら、中板の位置を簡単に移動できる利便性を併せ持っています。
オプションパーツ
ステンレス棚と合わせて、クリーンルームにおすすめのオプションパーツも消化します。
帯電防止用ウレタンキャスター
帯電防止用ウレタンキャスターは、帯電防止性ウレタンを車輪の素材に使用することで、静電気が逃しやすく、ほこりがつきにくいキャスターです。
クリーンルーム内で棚を移動することが多い場合は、ぜひおすすめしたいオプションパーツです。
まとめ
クリーンルームとは、目に見えない細菌や、視認しにくい小さなホコリなどを取り除き、製品に付着するのを防止するために作られた部屋で、室内で使用する棚にも耐食性や耐薬品性、静電気を逃がしやすくするための帯電防止性や食品衛生保管に適した素材や構造の棚の導入が必要になります。
このような条件を満たす棚としては、クリーンルーム内の環境管理に適したステンレス素材を使用しているステンレス棚がおすすめです。
ミクニヤではスチール棚と同様のサイズと仕様でステンレス棚をラインアップしていますので、クリーンルームで使用するステンレス棚をお探しの際はお気軽にご相談ください。
追伸:ミクニヤのステンレックラックは楽天市場棚・ラックの専門店 ミクニヤでも購入が可能です。
また、スチールラックに関するご相談は、チャットやお問い合わせフォームから24時間いつでも受け付け中です。
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