高耐食性めっき鋼板とは?
高耐食性めっき鋼板とは、耐食性の高いめっき処理が施された鋼板のことです。
通常のめっき鋼板は、錆びにくくするために、鋼板の表面にめっき金属の薄膜を被膜させるめっき処理を施しますが、高耐食性めっき鋼板の場合は、亜鉛にアルミニウムやマグネシウムをなど加えた合金でめっき処理されています。
高耐食性めっき鋼板は、一般的に使用されている溶融亜鉛めっき鋼板と比較して耐食性に優れ加工もしやすいことから、建築素材や、電機機器の素材、自動車部品など様々な分野で活用されています。
ZAMとKOBEMAGの違いは?
高耐食性めっき鋼板は、主要鉄鋼メーカーごとに製品化されていて、それぞれ種類や名称が異なります。
ZAM®※①とは?
ZAM®は日本製鉄株式会社が世界で初めて工業生産化に成功した高耐食性めっき鋼板です。
ZAM®は、メッキ処理で使用する合金の亜鉛=Zn、アルミニウム=Al、マグネシウム=Mgの3つの金属が名前の由来となっていて、それぞれの頭文字をとってZAM®鋼板というブランド名が付けられました。
ZAM®※の耐食性は、溶融亜鉛めっき鋼板にと比較して10~20倍(日本製鉄株式会社での塩水噴霧試験での試験結果による)高く、また、溶融亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板と比較しても5~8倍の耐食性があり、非常に優れた性能をもつ鋼板です。
※①ZAM®は日本製鉄株式会社の登録商標です。
日本製鉄株式会社:ZAM®について
KOBEMAG®※②とは?
KOBEMAG®は、株式会社神戸製鋼所が製造、販売を行う高耐食めっき鋼板です。
KOBEMAG®は、亜鉛-6%アルミニウム-3%マグネシウムのめっき層を持つ高耐食溶融めっき鋼板で、この特殊なめっき層が鋼板の上に保護被膜を形成することで、溶融亜鉛めっきに比べて優れた耐食性を発揮します。
※②KOBEMAG®は株式会社神戸製鋼所の高耐食めっき鋼板の登録商標です。
株式会社神戸製鋼所:高耐食めっき鋼板 KOBEMAG®
ZAMやKOBEMAGなどの高耐食性めっき鋼板の特長
高耐食性めっき鋼板は、その優れた特長から近年様々な業界で注目されている鋼板です。
高耐食性めっき鋼板の優れた特長は主に次の4つが挙げられます。
錆びにくい
高耐食性めっき鋼板の大きな特長の一つに、高い耐食性(=錆びにくい)点が挙げられます。
一般的なめっき鋼板は、亜鉛を使った溶融亜鉛でめっき処理をしています。
一方、高耐食性めっき鋼板のめっき層には、亜鉛のほかにマグネシウム(Magnesium) やアルミニウム(Aluminum) が含まれていて、時間の経過とともに、緻密で付着性の高いマグネシウムを含む亜鉛系保護被膜が形成されます。
この保護被膜がメッキ層の腐食進行を抑制し、溶融亜鉛めっき鋼板の約10~20倍も高い、優れた耐食性を実現しています。
導電性に優れている(静電気が逃げやすい)
高耐食性めっき鋼板は導電性に優れていることも大きな特長のひとつです。
金属は種類によって電気の流れやすさ(=導電性)が異なります。亜鉛や鉄と比較して、アルミニウムは導電性が高く電気が流れやすい金属ですが、高耐食性めっき鋼板には、めっき表面にアルミニウムが含まれているため、溶融亜鉛めっき鋼板よりも導電性に優れています。
導電性に優れているということは、静電気が逃げやすい性質とも言えます。
高耐食性めっき鋼板は導電性に優れていることから、静電気で集まるホコリで悪影響を受けやすい電気機器類などにも有効な素材です。
耐アルカリに優れている
高耐食性めっき鋼板は、その高い耐食性から、アルカリに対しても高い耐性があります。
めっき層の表面にマグネシウムやアルミを含んだ亜鉛系保護被膜が形成されることで、小アルカリ成分から鋼板への浸食を防ぐことができます。
このため、アルカリ成分を含んだ医薬品などに対しても有効な素材となっています。
ステンレスよりも価格が安い
さらに高耐食性めっき鋼板の優れた点として、同じ耐食性に優れた金属のステンレスよりも価格が安く、コストダウンにつながることが挙げられます。
溶融亜鉛メッキ鋼板が成型した後にめっき処理を行うのに対して、高耐食性めっき鋼板はメーカーが製造する段階でめっき処理を施しているためめっき処理工程が不要であることもコストダウンにつながる大きな要因となっています。
ZAMやKOBEMAGの高耐食性めっき鋼板を使ったスチールラックとは?
高い耐食性とコストパフォーマンスに優れた高耐食性めっき鋼板はスチールラックにも適した素材です。
ミクニヤでは高耐食性めっき鋼板のスチールラックを販売しています。
ミクニヤの高耐食性めっきスチールラック
ミクニヤの高耐食性めっきスチールラックは、神戸製鋼所の高耐食メッキ鋼板KOBEMAG®をつかったスチールラックです。
ミクニヤの高耐食性めっきスチールラックの特長は、高耐食性めっき鋼板特有の優れた表面保護力と錆びに強い耐食性です。
これにより通常のスチールラックでは耐えられない屋外などの特殊な条件下での使用が可能になっています。
高耐食性めっき鋼板KOBEMAG®の特長
KOBEMAG®は、亜鉛-6%アルミニウム-3%マグネシウムのめっき層を持つ高耐食溶融めっき鋼板です。
平坦部の耐食メカニズム
KOBEMAG®の平坦部は、マグネシウムを含む亜鉛、亜鉛-アルミニウム系保護被膜により、溶融亜鉛めっきに比べて優れた耐食性を発揮します。
KOBEMAG®製造元の神戸製鋼所が行った平坦部の耐食性比較(塩水噴霧試験による赤錆発生時間。無処理)によると、溶融亜鉛めっき鋼板に比べ10~20倍、溶融亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板に比べ5~8倍の耐食性があることが実証されています。
ミクニヤ高耐食性めっきスチールラックの特長
- 耐食性に優れています→屋外環境や水気の多い環境、冷凍倉庫でも使用可能です。培養・発酵設備などの使用にも適しています。
- 導電性に優れています→静電気の影響を受けにくいため、電子部品の保管で、クリーンルーム内での使用にも適しています
- 耐アルカリに優れています→表面保護力が高く、医薬品庫等の保管にも問題なく使用できます
- 有害物質を含まず衛生的です→素材自体に優れた表面保護力があるので未塗装の製品となっています。有害物質を含まないことで食品・医療品等の保管にも安心して使用できます。
ミクニヤの高耐食性めっき中量棚
ミクニヤの高耐食性めっきスチールラックは汎用性の高い中量ボルトレス棚がラインアップされています。
仕様や用途については、ステンレスラック(SUS430)とほぼ近いものとなっています。
価格については同仕様のステンレスラックと比較して6割以上安く、大幅なコストダウンにつながります。
まとめ
高耐食めっき鋼板は、亜鉛とマグネシウム、アルミなどを加えた合金でめっき処理した耐食性を高めた鋼板です。
表面保護力が高く、屋外での使用も可能なほか、耐薬品性も高く、ステンレススチールに匹敵する耐食性を持ちながら、ステンレススチールよりも割安な価格で入手できるので大幅なコストダウンにもつながります。
高耐食めっき鋼板は近年注目されている素材で、工業製品をはじめ幅広い用途に使用されていますが、スチールラックでも高耐食めっき鋼板製の製品がラインアップされています。
ミクニヤでは、高耐食性めっき中量棚を新たにラインアップしました。仕様や用途についてはステンレスラック(SUS430)とほぼ同じですが、価格は大幅に安くなっていますので、耐食性の高いスチールラックをお探しの方にはおすすめできる商品です。
ミクニヤでは高耐食性めっきスチールラックに関するご相談を、チャットやお問い合わせフォームから24時間いつでも受け付け中です。
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