ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックとは?
一般的なスチールラックは、四本の支柱にビームと呼ばれる梁をつなげてボックス状のかたちを作ることで、強度高い構造になっています。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、四方につなげたビームのうち、最下段の前面のみを取り付けしないで組み立てることで、利便性を高めているスチールラックです。
ボトムオープンタイプのスチールラックは“下段開放型“
ボトムオープンタイプのスチールラックは、別名で“下段開放型“スチールラックとも呼ばれています。
下段開放型のスチールラックは、最下段の全面のビームと棚板がついていない構造になっているため床面を含めたスペースを活用できるようになっています。
メタルラックではコの字バーを使う
メタルラックの場合は、棚板の代わりに3辺の補強バーでポールを固定するコの字バーを最下段に設置することで下段開放型にすることが可能です。
多くのメーカーではコの字バーがオプションパーツとして販売されていますので、最下段の棚板をコの字バーに組み替えることで、比較的簡単に下段開放型のメタルラックに仕様を変更することができます。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックのメリット
台車の保管や出し入れがスムーズにできる
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックのメリットのひとつは、最下段の前面が空いているため、台車などをそのまま保管できる、という点です。
例えば、重い荷物を頻繁に出し入れしたり、移動したりするときに、代車から棚板に乗せ換える作業は面倒で重労働な作業になります。
このようなときに、ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックを利用すると、代車に荷物を載せた状態で保管や出し入れができるので、積み下ろしの手間をかけずに、荷物の保管や出し入れをスムーズに行うことができます。
スペースを有効活用できる
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、スペースを有効活用できるという点もメリットの一つです。
通常のスチールラックは床面と底面の棚板のとの間に若干のスペースができてしまうため、少しではありますが、余分なスペースができてしまいます。
一方でボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの場合は、底面の棚板を設置せず3方のビーム(梁)だけで固定しているため、床面から中間の棚板までのスペースを無駄なく使用することが可能です。
重量物を直接床面に保管しなければならない場合でも、ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックを使用することで、重量物は床面に、その他の保管物はスチールラックの棚に保管すると、いった効率的なスペース活用が可能になります。
メンテナンスや清掃がしやすい
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、メンテナンスや清掃がしやすいこともメリットの一つです。
一般的なスチールラックは、底面の棚板と床面に間隔があるため、落ちたものが隙間に入ってしまったり、ほこりや汚れが入ることがありますが、間隔が狭いとなかなか掃除用具が入らず、奥の方まで清掃するのが難しい場合があります。
一方で、ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、底面の棚板が無いため、奥の方まで手が届きやすく、清掃やメンテナンスがしやすい構造になっています。
スチールラックを設置した壁面にコンセントがある場所では、定期的にホコリや汚れをふき取りしやすくなりますので、漏電による出火などの危険を低減することができます。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックのデメリット
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは便利で様々な用途で使用できる反面、通常とのスチールラックとは異なる部分があるので注意が必要です。
強度が下がるため中間に横方向の補強が必要
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、最下段の前面にビーム(梁)が無いことから、そのままの状態だと強度不足になってしまいます。
この強度不足を補うために、中間ビームの横方向の補強を入れる必要があります。
通常のスチールラックのままビームを外し下段開放型にすると強度不足状態でスチールラックを使用することとなるので大変危険です。
最悪の場合は倒壊の危険もありますので、通常のスチールラックを補強せずに下段開放型にするようなことは絶対にやめましょう。
荷重に関する保障が対象外
また、ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは荷重に対する保障が対象外であることもデメリットになります。
通常のスチールラックは、四方をビームで固定する前提で設計を行い、耐荷重の計算を行っています。
一方で、ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、中間の横方向のビームで補強を入れることで強度を保っているものの、通常のスチールラックの設計とは異なる仕様となりますので、補償の対象からは外れてしまいます。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックを使用する場合は、棚板の耐荷重に対して、保管する荷物の重量に余裕を持たせておいた方がよいでしょう。
倒れやすいため転倒防止対策をしておくと安心
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、必須ではありませんが転倒防止対策をしておくと安心です。
最下段の前面にビーム(梁)が無いことから通常のスチールラックと比較して、開放している前面に倒れやすい傾向があります。
このため、床固定用の金具や、壁面用のL型固定金具、転倒防止ベルトなどを使って転倒防止対策をしておくとより安心に使用することができます。
穴あけ加工が必要になる
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、特注で穴あけ加工が必要な点ものデメリットの一つになります。
穴あけ加工が必要になるという点で以下の注意が必要です。
別途費用が発生する
補強用のビームを固定するために、支柱に穴あけ加工が必要になることから、その分の費用が別途発生します。
見た目が気になる場合もある
支柱に穴あけ加工をするため、未加工よりは見た目が気になる、という方がいるかもしれません。穴自体はボルトを通すため、組み立て済みの状態で加工箇所が見えることがありませんが、固定用のボルトが付きますので、そういった点でも見た目が異なってきます。
穴あけ加工をするので、最下段の位置を変えられない
また、穴あけ加工をするとボルトを通す位置が固定されてしまうため、最下段の棚の位置が変更できなくなる、という点も注意が必要です。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックを購入する際は、最下段に収納する荷物のサイズを確認したうえで、高さを決めてから注文するようにしましょう。
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの施工事例
実際にミクニヤで行ったボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの施工事例をご紹介します。
軽中量ボルト式ラック(BO150型)のボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの施工事例
最下段に荷物を収納しやすい様に下段開放型にしています。台車のまま収納する事が可能です。揺れに対する補強の為に下段を三方補強し、更に今回は側面にダブルブレスを取り付けさせて頂きました。その上壁固定もさせて頂きましたので揺れ強度は抜群です!。 |
軽中量ボルトレスラック(BL150型)のボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの施工事例
最下段に棚板を取り付けしない事で、台車に乗せたまま出し入れが可能になります。 通常は決まった位置に横方向のビーム(梁)を取り付けますが、中間にビームを取付(中間ビーム仕様)しています。 また、前面を除く三方には補強材を取り付け、壁と床は転倒防止をしています。 |
中軽量ボルトレスラック(BL200型)のボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックの施工事例
下段開放型は前面の最下段のビームのみを取り付けしない事で、収納がしやくなっています。こちらのタイプは底面のビーム(梁)の全面を付けない為、転倒の恐れが出てまいります。その為、床や壁面などに棚を固定することをおすすめしています。 |
まとめ
ボトムオープン(下段開放)タイプのスチールラックは、最下段の棚と前面のビーム(梁)を取り付けせず、下段を開放して利便性を高めているスチールラックです。
床面を含めたスペースを活用できるといったメリットがある一方で、穴あけ加工が必要だったり、補償が対象外だったりする、といったデメリットもあります。
ミクニヤでは、別注・特注のオーダーメイドで下段開放型のスチールラックを取り扱いしております。
また、耐荷重やサイズ、設置についてなど、スチールラックに関するご相談を、チャットやお問い合わせフォームから24時間いつでも受け付け中です。
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