スチールラック増設・増段の基礎知識
スチールラックは、収納物の大きさやボリュームによって、棚板を増段したり、増連結したりすることで収納力をUPすることができます。
一方で、闇雲に増設・増段をしてしまうと、安全性や耐久性に大きな問題が生じる可能性があるため注意が必要です。
安全にスチールラックの増設・増段を行って頂くために、まずはスチールラックの基礎知識についてご説明します。
スチールラックの構造と種類
スチールラックは、主に支柱、ビーム(横桟)、棚板の3つのパーツで構成されています。
支柱はラックの骨格となる部分で、ビーム(横桟)は支柱と棚板を支えて固定するためのパーツです。
そして、棚板は収納物を置く部分で、スチール製のほかにも木材などの素材が使用されることがあります。
スチールラックの種類は、主に棚板1段あたりの耐荷重によって細かく分類されていて、収納する物の重さや量によって適切なものを選ぶ必要があります。
メーカーによっても分類が異なりますが、例えばミクニヤでは棚板1段当たりの耐荷重100㎏が軽量棚、耐荷重150㎏が軽中量棚、耐荷重200㎏が中軽量棚、耐荷重300㎏が中量棚、耐荷重500㎏が中重量棚、耐荷重1000㎏以上が重量棚となっています。
その他にボルト式やセミボルト式、ボルトレスなど、支柱とビーム(横桟)を固定する方式によっても種類が異なります。
スチールラックは何段まで棚板を追加できる?
スチールラックに棚板を追加できる段数は、基本的に穴の位置とスペースさえあれば、何段でも取り付けが可能です。
ただし、スチールラックには棚1台あたりの耐荷重が設定されているので、むやみに棚板を追加しすぎると、耐荷重を超えてしまうことがあるため注意が必要です。
また、棚板を追加しすぎると、スチールラック全体のバランスが崩れやすく不安定になる可能性があります。特に、上段に重いものを載せる場合は注意が必要です。
スチールラック増設・増段の方法
スチールラックの収納力を高めたいとき、まず考えられるのが増設・増段です。
既存のスチールラックに棚板を追加したり、複数のラックを連結したりすることで、収納スペースを大幅に拡張することができます。
スチールラックに棚板を追加して増段する
最も一般的な方法は、既存のスチールラックに棚板を追加して段数を増やす方法です。
棚板を追加する際は、まず必要なパーツを購入します。
既存のスチールラックと同じ種類・サイズの棚板セットを購入してください。
ご用意出来ましたら、支柱に設けられた穴の位置を確認し、棚板を設置したい高さを決めます。
そこにボルトやフック、棚受(奥行桟)など使い支柱に取り付ければ完了です。
スチールラックを増連結して棚板を増段する
棚板を増段するほかにも、複数のスチールラックを増連結することで、より大規模な収納スペースを確保することができます。
これは、倉庫や工場など、大量の物品を収納する必要がある場合に有効な方法です。
増連結の手順は、まず連結したいスチールラックの位置を決め、増連結専用のパーツを取り付ける場所を確保します。
増連結は、連結する側の支柱をベースのスチールラックと共有するため、ベースの支柱に増連結のパーツを取り付ければ完了です。
なお、増連結は連結したスチールラック全体を1台のラックとして耐荷重を考慮する必要があります。
スチールラックを増設・増段するときの注意点
スチールラックの収納力を高めるために、増設や増段を行うことは非常に有効な手段です。
一方で、安易に増設・増段を行うと、思わぬトラブルに繋がる可能性もあるため十分な注意が必要です。
安全かつ効率的にスチールラックを増設・増段するために、次の注意点を理解しておきましょう。
有効間隔・段ピッチによって増段できる数が異なる
スチールラックを増段する際に注意する点としては、各段の間隔を示す「有効間隔」と、段と段の距離を示す「段ピッチ」を把握することです。
これらの数値によって、増段できる棚板の数が決まります。
有効間隔が狭い場合、収納できるものの高さが制限されるため、増段しても収納力が大幅に向上しないことがあります。
また、段ピッチが広すぎる場合は、棚板を追加できるスペースが限られてしまい、増段できる数が少なくなります。
増段することを想定してスチールラックを購入する際は、これらの数値を事前に確認し、自分の収納物に合った種類のスチールラックを選ぶことが大切です。
組み立て方が通常のスチールラックと異なる
また、はじめから増段してスチールラックを組み立てする場合、通常の組み立て方とは異なる場合があるため注意が必要です。
説明書に記載されている手順通りに組み立てても、うまくいかないことがあります。
特に、棚板の枚数を多くする場合は、棚板同士の間隔が狭くなるため、下から順番に棚板を取り付けていき、最後に天板を取り付けるといった、特殊な組み立て方をする必要があります。
もし、増段の組み立てに不安がある場合は、スチールラックの組み立てを依頼できる専門店に問い合わせてみることをおすすめします。
スチールラック重量が重くなる
その他にも、増段するほどスチールラックの重量が重くなる、という点にも注意が必要です。
スチールラックに棚板を追加したり、複数のラックを連結したりすると、当然ながら重量が増します。
特に、重量物を収納する場合は、床の強度や耐荷重に十分に注意する必要があります。
床の強度が低いと、スチールラックが傾いたり床が破損したりする恐れがあるほか、スチールラック自体も、重量が増えることで変形したり、倒壊したりする危険が考えられます。
1台当たりの耐荷重に注意する
重量に関連することでは、1台当たりの耐荷重にも注意する点が挙げられます。
スチールラックには棚板1段あたりの耐荷重のほかにも、1台あたりの耐荷重という2種類の耐荷重が設定されています。
増段することで段数は増えますが、1台あたりの耐荷重は変わりません。
スチールラック全体としての耐荷重を超えるような重量物を載せると、スチールラックが破損する恐れがあるため、保管する物の総重量が1台当たりの耐荷重を超えないように十分気を付けましょう。
参考:スチールラックの1台当たりの耐荷重
1台あたりの 耐荷重 |
420kg | 480kg | 840kg | 960kg | 1,000kg | 2,000kg | 5,000kg |
棚の種類 | 複柱単式書架-B5サイズ | 複柱単式書架-A4縦サイズ複柱単式書架-A4横サイズ | 複柱複式書架-B5サイズ | 複柱複式書架-A4縦サイズ複柱複式書架-A4横サイズ | BO100型(軽量ボルト式ラック)SB100型(軽量セミボルトレスラック) | BL300型(中量ボルトレスラック)BL500型(中重量ボルトレスラック) | BO1000型(重量ボルト式ラック) |
安全にスチールラックを増設・増段する方法
スチールラックの増設・増段は、収納スペースを有効活用するうえで非常に有効な手段です。
一方で、間違った方法で作業を行ってしまうと、思わぬ事故につながる可能性も考えられます。
安全にスチールラックを増設・増段するために、次の注意点を把握しておきましょう。
安全な作業環境を確保する
まず、安全な作業環境を確保することが重要です。
作業を行う場所には、十分なスペースを確保し、足元が安定していることを確認しましょう。
また、周囲に障害物がないか、転倒の恐れのあるものがないかなどをチェックし、安全な作業スペースを確保してください。
次に、作業を行う際は、安全靴を着用し、手袋などの保護具を着用することをおすすめします。
特に、ボルトを締め付ける際には、手が滑って怪我をする可能性があります。
また、長袖の作業着を着用し、肌の露出を最小限に抑えることも重要です。
しっかりボルトを締め付けする
スチールラックの組み立てにおいて、ボルトをしっかりと締め付けることは非常に重要です。
ボルトが緩んでいると、棚板が落下したり、スチールラックが倒れたりする原因となります。
特に、増設・増段を行った場合は、ボルトの緩みが発生しやすいため、定期的に締め付け具合を確認し、必要であれば締め直すようにしましょう。
また、ボルトを締め付ける際は、トルクレンチを使用すると均一な力で締め付けることができるので、ボルトの締めすぎによる破損を防ぐことができます。
不安なときは組み立てをプロに依頼する
スチールラックの組み立ては、一見簡単そうに見えますが、実は多くの注意点があります。
組み立する場所によっては、高所での作業や、重量物の取り扱いなど、危険が伴う作業もあります。
もし、自分で組み立てを行うことに不安がある場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
専門業者に依頼することで、安全かつ確実にスチールラックを組み立ててもらうことができます。
また、専門業者は、スチールラックの選定やレイアウトに関するアドバイスもしてくれるため、より効率的な収納スペースを構築することができます。
まとめ
スチールラックの増設・増段は、収納スペースを最大限に活用するための有効な手段ですが、安全に作業を行うことが何よりも大切です。
安全な作業環境を確保し、ボルトをしっかりと締め付けるなど、基本的なことを守りながら作業を行いましょう。
もし、不安な場合は、専門業者に依頼することを検討してみてください。
ミクニヤでは、スチールラックの増設・増段に関するご相談や組み立て出張サービスのご要望も受付しております。
お気軽にお問い合わせください。